はじめに
アニメ界の巨匠と呼ばれる大塚康生。
その躍動感溢れる作画は、ルパン三世をはじめ、未来少年コナンなど、数々の名作を生み出す原動力となりました。
特に、ルパン三世シリーズにおけるカーチェイスシーンは、彼の真骨頂ともいえるでしょう。
2020年に刊行された画集「ルパン三世と車と機関車と」は、大塚康生氏のルパン三世への情熱と、その卓越した技法を存分に堪能できる一冊です。
大塚康生とルパン三世:運命の出会い
大塚康生氏がルパン三世と出会ったのは、1971年、ルパン三世 (TV第1シリーズ) の制作に携わった時でした。
当時、まだ若手アニメーターであった大塚氏は、モンキー・パンチ原作のルパン三世という作品に衝撃を受け、持ち前のメカニック描写と躍動感溢れるアクションシーンで作品に彩りを添えました。
ルパン三世は、大塚康生氏にとって単なる仕事ではありませんでした。
スタイリッシュで飄々としたルパン三世、クールで美しい峰不二子、憎めない銭形警部といったキャラクターたちは、大塚康生氏の魂を映し出す鏡のような存在だったのです。
躍動感と繊細さを兼ね備えた画風
大塚康生氏の画風は、力強く躍動感のある線と、繊細な描写が特徴です。
特に、メカニック描写には定評があり、車やバイク、飛行機などをリアルかつスタイリッシュに描き上げています。
また、キャラクターの表情や動きも非常に豊かで、一瞬の動きの中にキャラクターの感情や心理状態を表現することに長けていました。
画集「ルパン三世と車と機関車と」の魅力
画集「ルパン三世と車と機関車と」は、大塚康生氏がルパン三世のために描き下ろしたイラストや、当時の貴重な資料を収録した一冊です。
特に、ルパン三世の愛車であるフィアット500の個性がなぜ生まれたのか、彼自身によるその説明は、一読の価値があります。
大塚康生氏が描いたフィアット500は、単なる車ではなく、ルパン三世というキャラクターそのものを象徴する存在でした。
その丸みを帯びた子供のようなスタイリッシュなデザインと軽快な動きは、映画カリオストロの城でもルパン三世の魅力を最大限に引き出しています。
また、大塚康生はルパン三世のカーアクションシーンも数多く手がけています。
彼の演出は、迫力満点でありながらコミカルなセンスも光っており、ルパン三世のカーアクションシーンを語る上で欠かせない存在だと言えるでしょう。
まとめ
大塚康生画集「ルパン三世と車と機関車と」は、ルパン三世ファンはもちろん、アニメーションファン、車好きにとっても必見の一冊です。
大塚康生氏の素晴らしい絵と、ルパン三世への情熱が存分に堪能できる、貴重な資料だと思います。