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海外M&Aを成功に導くための新結合の経営戦略:松本茂氏の「海外M&A 新結合の経営戦略」を読み解く

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グローバル競争激化の中、日本企業が生き残る道は?

経済のグローバル化が加速する中、日本企業は国内市場の縮小や海外企業との競争激化という課題に直面しています。

これらの課題を克服し、持続的な成長を遂げるためには、海外市場への進出、特に海外M&A(合併・買収)が有効な戦略の一つとして注目されています。

しかし、海外M&Aは文化や商習慣の違い、法制度の複雑さなど、多くの困難を伴います。
成功のためには、綿密な計画と実行、そしてM&A後の統合プロセス(PMI)における適切なマネジメントが不可欠です。

 

海外M&Aの成功と失敗を分けるものは何か?

京都大学経営管理大学院特命教授である松本茂氏の著書「海外M&A 新結合の経営戦略」は、日本企業が海外M&Aを成功に導くための具体的な方法論を提示しています。

同書では、日本を代表する製造業6社の成功事例と、GM、グーグル、日産=ルノーなどグローバル企業のM&A戦略を分析し、

日本企業が持つ「知識創造」と「モノづくり」の強みを活かした海外M&Aの在り方を示唆しています。

松本茂氏の新結合の経営戦略:海外M&A成功の鍵

本書では、日本を代表する製造業企業6社の海外M&A成功事例を詳細に分析し、その成功要因を明らかにしています。

松本氏は、シュンペーターの「新結合」の概念を基に、海外M&Aを「異なる企業文化や経営資源を組み合わせ、新たな価値を生み出すプロセス」と定義しています。

そして、この「新結合」を成功させるためには、「両利きの経営」が重要であると説いています。

「両利きの経営」とは、既存事業の効率性を高める「 exploitation(深化)」と、新規事業の創造を促進する「 exploration(探索)」を両立させる経営手法です。

海外M&Aにおいては、買収後の統合プロセスにおいて、既存事業とのシナジー効果を最大化しつつ、新たな事業機会を創出し続けることが求められます。

 

海外M&A成功のための10の注意点

松本氏の著書を参考に、海外M&Aを成功に導くための10の注意点をまとめました。

  1. 明確な戦略目標の設定:なぜ海外M&Aを行うのか、どのような成果を期待するのかを明確にする
  2. 適切な買収対象の選定:自社の戦略目標に合致し、シナジー効果が見込める企業を選ぶ
  3. 文化的な違いへの配慮:異なる文化や商習慣を理解し、尊重する姿勢を持つ
  4. 徹底したデューデリジェンス:買収対象企業の財務状況、法務リスク、事業内容などを詳細に調査する
  5. 現実的なシナジー効果の評価:過度な期待は禁物。実現可能なシナジー効果を見極める
  6. PMIの綿密な計画:買収後の統合プロセスを事前に計画し、円滑な実行を目指す
  7. 組織文化の統合:異なる企業文化を融合させ、新たな組織文化を構築する
  8. 効果的なコミュニケーション:従業員、顧客、株主など、ステークホルダーとのコミュニケーションを密にする
  9. 人材の確保と育成:優秀な人材を確保し、M&A後の組織を支えるリーダーを育成する
  10. 継続的なモニタリングと評価:買収後の業績を定期的に評価し、必要に応じて戦略を修正する

 

「海外M&A 新結合の経営戦略」が提供する価値

本書は、海外M&Aを検討する企業にとって、以下の価値を提供します。

  • 成功事例と失敗事例の分析:過去の事例から学ぶことで、成功確率を高める
  • 新結合の経営戦略の理論と実践:具体的な方法論を理解し、自社に合った戦略を構築する
  • 両利きの経営の視点:既存事業の深化と新規事業の探索を両立させる
  • M&A後の統合プロセス(PMI)の重要性:PMIの成功がM&A全体の成否を左右する

今すぐ「海外M&A 新結合の経営戦略」を手に取ろう!

「海外M&A 新結合の経営戦略」は、海外M&Aを成功に導くための羅針盤となる一冊です。

経営者、M&A担当者、経営学を学ぶ学生など、

グローバルな舞台で活躍したいと願うすべての人にとって、必読の書と言えるでしょう。

本書で得られる知識と洞察は、あなたの企業を新たな成長軌道へと導く原動力となるはずです。

ぜひ、この機会に本書を手に取り、海外M&Aの成功への第一歩を踏み出してください。