はじめに
もの久保先生による画集「ねなしがみ」は、2021年に刊行された作品集であす。
圧倒的な画力で描かれる幻想的な世界観と、日本的な美を怪異に表現した独特な画風が、多くのファンを魅了しています。
本書は、単なる画集にとどまらず、日本の伝統文化への造詣の深さを感じさせる作品です。
また現代社会における人間存在のあり方についても深く考えさせてくれる作品です。
もの久保先生について
もの久保先生は、イラストレーターであり、妖怪や神話、巨大な生物をモチーフとした作品で知られています。
独特なタッチと鮮やかな色彩でありながらもほの暗さを感じさせる作品群は、見る者に強い印象を与えます。
もの久保先生は、蟻塚というハンドルネームでSNS上で作品を公開していて、その特徴のある世界観のイラストを、一度は目にした方も多いのではないでしょうか。
「ねなしがみ」の特徴
本作は、もの久保先生の代表作の一つであり、2014年から2020年までに描かれた作品を収録しています。
古い昔話が語り継がれているような「不穏な田舎」で遭遇するモノたち。
どこかがおかしい不穏なイラストが描きおろしを含めて100点以上収録されています。
「ねなしがみ」の見どころ
「ねなしがみ」の見どころは、なんといって、その異形な人、モノ、風景たちです。
もの久保氏は、妖怪や神話、怪談よりも怪異と表現したほうがいいようなモチーフを得意としており、「ねなしがみ」にも、さまざまな神?が描かれています。
これらの日本のどこかで伝わっている民間伝承は、もの久保氏独自の解釈で描かれており、見る者に新たな発見を与えてくれます。
「ねなしがみ」の感想
「ねなしがみ」は、心が健康な時に見るべき作品集なのかもしれません。
この、心の奥底がざわざわする感じは、イラストを見ていただければ共感してもらえると思います。
出会いたくない存在たちだけれど出会いたいような、遭遇したら終末が訪れることが確実なのに遭遇してみたいような、そんな存在たちが描かれています。
さらに現代社会における、人間存在のあり方についても深く考えさせてくれる作品です。
まとめ
「ねなしがみ」は、もの久保氏の代表作の一つであり、日本の民間伝承をモチーフとした画集です。
本書は、圧倒的な画力で描かれる幻想的な世界観と、日本の伝統美を不穏に表現した独特な画風が魅力的な作品集です。
ぜひ、ほの暗い夕方に一人で開いてみることをお勧めします。