はじめに
「デンマークの親は子どもを褒めない」
刺激的なタイトルに、一体どんなスパルタ教育なのかと身構えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、本書は決して厳格な育児法を推奨するものではありません。
むしろ、世界幸福度ランキングで長年上位を誇るデンマークの子育ての根底にある、温かく、そして深い愛情に基づいた教育哲学を紐解く内容となっています。
なぜデンマークは幸福度が高いのか?
本書は、アメリカ人作家のジェシカ・ジョエル・アレキサンダーと、デンマーク人コーチのイーベン・ディシング・サンダールによる共著です。
デンマーク人の夫を持つアレキサンダーは、長年のデンマーク生活で培った経験と、心理学の知識を活かし、デンマークの子育ての驚くべき事実を明らかにします。
デンマーク流子育てのキーワード「PARENT」
本書では、デンマークの子育ての核となる6つのキーワードを「PARENT(親)」の頭文字になぞらえて紹介しています。
1. Play(遊ぶ):
子どもたちは、指示された遊びではなく、自発的に好きなだけ遊ぶ時間を大切にします。
この自由な遊びが、子どもの創造性、問題解決能力、そして「折れない心」を育みます。
2. Authenticity(ありのままを見る):
良い点も悪い点も含めて、ありのままの子どもを認めることが大切です。
結果ではなく、努力のプロセスを評価し、子どもの自己肯定感を高めます。
3. Reframing(視点を変える):
ネガティブな出来事も、別の視点から見て、ポジティブな側面を見つけ出すことを教えます。
困難を乗り越える力、レジリエンスを養うために重要な考え方です。
4. Empathy(共感力):
子どもたちは、異なる年齢の子どもたちと関わる中で、自然と共感力を身につけます。
相手の気持ちを理解し、尊重する姿勢は、良好な人間関係を築く上で欠かせません。
5. No Ultimatums(叩かない):
体罰は厳禁です。子どもを尊重し、対話を通じて問題解決を図ります。
親子の信頼関係を築き、子どもの自律性を育む上で重要なポイントです。
6. Togetherness(仲間とつながる):
家族や友人との時間を大切にし、温かい人間関係を築くことを重視します。
子どもたちは、安心できる環境の中で、自己肯定感を高め、社会性を育みます。
「褒めない」子育ての真意とは?
デンマークの親は、子どもを褒めることを控えます。
しかし、それは愛情がないわけではありません。
むしろ、過度な称賛が子どもの依存心を高めたり、プレッシャーを与えたりすることを懸念しているのです。
日本の子育てへのヒント
本書は、日本の子育てにも多くの示唆を与えてくれます。
- 詰め込み教育ではなく、子どもが自発的に学べる環境を提供すること
- 結果だけでなく、努力のプロセスを認めること
- 子どもを尊重し、対話を通じて信頼関係を築くこと
これらのデンマーク流の子育ての原則は、競争社会の中で生きる日本の子どもたちにとっても、きっと役立つことでしょう。
こんな方におすすめ
- 子育て中の親御さん
- 教育関係者
- 心理学、教育学に興味のある方
- 異文化の子育てに興味のある方
- 幸福度の高い社会の秘訣を知りたい方
本書は、子育ての悩みを抱える親御さんだけでなく、教育関係者や、異文化の子育てに興味のある方にもおすすめです。
デンマークの教育哲学に触れることで、新しい視点が開けるかもしれません。
まとめ
「デンマークの親は子どもを褒めない」は、一見すると衝撃的なタイトルですが、その内容は、愛情深く、そして思慮深いデンマークの子育ての知恵が詰まった一冊です。
ぜひ、本書を手に取って、デンマークの子育ての秘密を探ってみてください。